私が買った始めてのファミコン雑誌がコレ、ファミリーコンピュータマガジン。この雑誌ではソフトに対してネガティブな印象を与えないのが特徴。
「ソフトの評価は当雑誌ではいたしません。お客さまそれぞれがなさって下さい。」
ファミ通で客のフリをして各ゲーム雑誌にインタビューをする企画でファミマガに電話した時の返答がコレ。そのポリシー、精神は一貫していた...。
ただし...何も知らない子供は紹介されるがまま、つい面白いソフトのように見えてしまう。それで私もいくつかのクソを掴まさせていただいた。
「なんかおかしいぞ、この本を買うとどんどんクソを掴ませられる...そんな気がする」
そうしたことを思い始めた私は軸足をファミ通にシフト。 そうしたところ、クソを掴む事がほとんどなくなったのです。
そうしたある日「そういや昔買ってたな」と久しぶりに買ってみたらいつのまにかファミリーコンピュータマガジンでもソフトの評価点を付けるようになっていたことに驚き。あの骨太の精神はどこへやら。
他誌ではユーザー側に立った誌面作りとしてクソを踏ませないよう厳しくソフトの評価を下して読者の支持を集めた。
ファミマガは一見ソフトタッチで読者に優しい、しかし その実メーカー側なのでは?そんな疑惑を打ち払うべくソフトの評価についに乗り出したのです! やるとなったらそこはさすが老舗、ファミリーコンピュータマガジン。詳細な項目を設けてより詳しい評価になるよう工夫がなされている。
「ゲーム通信簿」と銘打った内容は以下の通り
「キャラクタ」、「音楽」、「買い得」、「操作性」、「熱中度」、「オリジナリティ」、これらを合計したものが総合得点として順位づけなされています。
パっと見、意味が良くわからないですが説明によると「キャラの動きやカワイさ、成長の具合など」だそうです。
あまり一つの項目にあれもこれも入れるのはやめていただきたいもの。混乱を招く要因になっている。成長?なんのことやら・・・。
キャラクタに魅力が無くとも面白いゲームはある。誰もヒゲのおじさんに魅力を感じてスーパーマリオをやっていたわけではあるまい。
逆にキャラクタに魅力があろうと動きがてんでなっていないものもあるだろう。
スッキリしないあいまいさ加減はどうかするとキャラものを数多く取り扱うあるメーカーへの配慮という誤解さえ招きそう...。
「キャラクタ」とか「オリジナリティ」とか基準がいささかよくわからない項目をみるより結局ここを見たほうが一番早いというちょっと悲しい事になっています。
他誌のように雑誌内にキチンと名前を明かしたレビュアーがいて、その責任の下、評価を下している。
というわけではなく、ソフトを買った読者に判定をさせている。なんと、実は「ソフトの評価は当雑誌ではいたしません」という骨太の精神は生きていたのだ!
さすが読者を大切にするファミマガ。すべてを読者に丸投げにしている点がすばらしい。
読者を大切にするファミマガ、しかしながら評価する読者も玉石混合、色々な価値観のレビューもありましょう。そこは雑誌の責任として厳格たる精査の上、掲載されているのは言うまでもありません。ではその内容をみてみましょう。
ディープダンジョンⅣ「ドラクエシリーズよりしぶとくかんじる」
・・・・・・これは内容の評価でしょうか?しぶとい?シリーズが続いていくことなのでしょうか?お陰様でディープダンジョンは今作を持って終了いたしましたね。
ハットリス「もうすこし考えて作って欲しかった」
これをあのファミマガがよく掲載したものです。子供でもわかる明らかな手抜き・・・この業界の悪しき構図を端的にあらわしているではありませんか。子供のなけなしのお小遣いを安易に作ったゲームで奪う・・・許されないことです。こうした側面をファミマガが採り上げるとわ・・・。あ、いや、さすがファミマガ!
これら貴重な読者のレビューは当然の事ながらソフトの発売後という形。他誌のような発売前にレビューを行うものではないため、新品で買うユーザーのためにはなりませんでした。
中古を買うために参考にしてもいいかなくらいのもの。けっきょくメーカー側への過度の配慮から抜けきらなかったファミマガでした。