神宮寺三郎の以前の依頼の回想という形で物語がスタートする。序盤はドラマチックなインパクトも無い、なんら心を掴む要素に乏しい印象。しかし・・・。
神宮寺と御苑洋子は別々の捜査をしていて、一定進む毎に神宮寺、洋子の視点が入れ替わる
途中経過はパスワード。たった4ケタしかない。
1年前の依頼の回想を熊野に語る。過去の回想と熊野に語る現在とが変わりながら物語が進行していく。なんだかやたら変更が多い印象ですがプレイしてみるとそれほど複雑じゃないです。
捜査中、ある程度進むと中断され、熊野と神宮寺がその場面で感じたこと、次にすべきことなどを語ったりしてストーリーを誘導する。 移動可能な場所は多いもののそのコメントから捜査のあたりがつけやすく、迷いなくプレイできる。そのためか比較的テンポよくストーリーが進む印象。
そういったこのゲームの方向性が見え始めたあたりから「今作は当たりか?」と思い始めた。
「横浜港~」でこのシリーズへの信頼感が著しく低下してただけに良い感覚。
ただやっぱり、このシリーズ。 伝統なのかコマンドを辛抱強く入力しないといけなくなる場面がある。
しかしそれは全体的な要素からするとわずかだった。
全体的に難易度は易しいほうです。
シリーズの特徴を継承し、渋い雰囲気。今回は回想ということでモノクロが多くなっている。
現代に戻って熊野に語るシーンはカラーになる。
熊野などモノクロ・・・いや、モザイクで十分なのだが。
先が気になるのに「ここで切っちゃうの?」なんてこともあるかも。
「二つの事件は絶対つながるはずなんだが一体どこで・・・。」気を揉ませつつかなり先までそれはわからずじまいで進んでいく。
人を惹きつけるのに背後に潜む大掛かりな組織や深い怨念が生む復讐劇、連続殺人などのドラマチックな事件が必要ではないことがわかった。
けっこう引っ張られて一気にエンディングまでプレイしてしまった・・・。←熊野のおっさんの気持ちはよくわかる・・・。神宮寺のじらしプレイに欲しがり屋さんの熊野がついに果ててしまう。
プレイする前は侮りまくってましたけどけっこう考えて作られている。
オープニングのBGMが妙。全体的に微妙なデキ。らしくないな。
「さて、コマンド総当り作業でもやるか」などという固定観念でプレイを始めた自分はいい意味で裏切られた。
たまに質問があり、プレイヤーが自発的に物語に参加する姿勢を促している。これによって作業的だったり受身的な要素が軽減されている。
質問の答えはそれほど厳密ではないようだ。間違えても熊野さんがフォローしてくれる。
「システム」の部分で説明したとおり移動可能な場所はけっこう多い。なのでコマンド総当りなんかしていると疲れます。しかし状況を見極めたり、あるいはなにかのヒントを足がかりに行くべき場所を判断すれば効果的な捜査が進むようになっている。
これがキチンとプレイヤーに状況を判断させるための仕掛けになっており、このゲームの面白さとなっている。
そして無駄なコマンド選択をさせないよう一定区間で熊さんが出てきてシーンの区切りをつけている。
う~~む・・・・なかなか絶妙でいいねコレ。
音楽も演出の一部なので音楽が微妙な今作はその意味でいえばちょっと不利だったのかも。ドラマチックな展開ではなく、ジワジワくるタイプのシナリオだったのでその辺も不利に働いたと思う。
神宮寺三郎ときの過ぎ行くままに
1990年9月28日データイースト
ストーリーはなんてことは無いが回想という形態をとっているのでけっこう先が気になる。「そうかあれから一年になるのか・・・」じゃあ今はどうなの!
とにかく気を揉ませるような話の進め方でプレーヤーを惹きつける。
かなりお勧めできます。