ボクサーズロードとは入門から引退までのボクサー人生を体験するアクション性豊かなボクサーライフシミュレーションゲーム。
日々のトレーニングや食生活まで自分で管理し、目指すは世界チャンピオン。数階級を制覇する偉大なあのマニー・パッキャオを目指すも良し、ネタに走って動けるデブボクサーを作るも良し、楽しみ方はプレイヤー次第だ。
早速入門してみたがジムの会長さんはどうみても「はじめの一歩」の鴨川会長ではないか・・・。
この会長、この後プレイヤーに様々な必殺技を伝授するのだがどれもこれも「はじめの一歩」な必殺技なのだ。
コークスクリューブローにガゼルパンチ・・・果てはカエル飛びのようなネタパンチまで。習得条件を満たせば教えてくれるのでそれまで必死にトレーニングに勤しもう。
選手育成は長いスパンを要する。毎日毎日チマチマとプレイするのも大変だ。
それを簡略化する意味をこめてか一定期間のトレーニングメニュー、食事メニューを決めることになる。
最初はわからないので適当に選んでカレンダーを進めよう。適当でいい。
すると選手のフィジカルデータが表示され、どのような変化があるのかがわかるようになっている。
数字がいろいろ並んでいて若干ウンザリするかもしれない。摂った栄養素、自身の能力が一緒くたに表示されているためだ。
能力値の変化はノンビリしたものなので最初はあまりよくわからなくていい。
ただ試合前に計量が行われ、失敗すると負けになるので注意したい項目がある。
上から5番目の「FAT」だ。この数値は自身に蓄積した脂肪量なのだ。
このゲームでは脂肪は無駄な扱いなので0に近い状態でもよいのだ。スタミナに影響することは一切ないのだ。ひでぇ・・・。
ちなみに現実の人間は体脂肪が5%切るといろいろとまずいことになるので注意。極端に抵抗力が落ちる。ボクサーズロードの世界を現実に持ち込まぬようにしよう。
さて、このボクサーズロードではfat脂肪は0でも生きていられるほどのユルさだ。
fatが増えているようならトレーニング的に甘やかせていると判断してもOK。
有酸素運動を追加して絞りつつスタミナもつけちゃえ。などというムチャクチャな案が自然と浮上してくるようになるのだがそれはやっていい。むしろそうすべき。
「それならトレーニングばっかさせとくか」誰でも考えること。ありえないほどのトレーニングが特徴のボクサーズロードだがさすがに画像内一番下の「TIRED」、疲れが蓄積していく。TIREDは1000付近に近づくとトレーニング効率が悪くなるのだ。次の日に抜けないようなら中4だった休日を中3日にするなど適当にいじってみよう。
一見難しそうに見えるボクサーズロードの食事&練習メニューだが、ありえないような食事量、ありえないようなトレーニングでOKだ。現実なら肝臓がやられるほどのタンパク質をとってもおkだし、疲れを抜くために水をガブのみするなどボクサーにあるまじき行為もOKだ。天国の力石はこれをプレイしたらなんと思うんでしょうか?
試合はアクションで行う。視点が数点から選べる。3Dは臨場感があるのだが距離感がわかりづらい。俯瞰視点だと動きがどうもラジコン的とどれもいま一つシックリとはこないかも。
加えて育成の初期段階はすべてが弱いし、遅い。いくらなんでも遅すぎだろというくらい。ベストな戦略を敷いても下手なアクションで台無しにすることもあるだろう。
ちなみに今回はプロテスト。適当にプレイしてみたがダウンを奪うことができ、テストに合格することができた。難易度はさほどでもない。ダウンシーンはこのゲームの見所の一つ。崩れ落ちる様は爽快だ。しかし・・・効果音が変だ。
コンピュータとの戦いの肝、それは間合いだ。フック系のパンチが良く当たるようだ。ストレートだと間合いが近すぎてダメージが与えられない事が多いのだがフックは間合いさえ合えばヒットエリアがワイド。こうなったらフックばっかだな。
当時のボクシングゲームは2Dなせいか空間を表現することができず、ガードの空いた場所を狙うだけのおよそボクシングとはかけ離れたもぐら叩きゲームばかり。
しかしポリゴンを生かした3D空間によって解消。お互いの立ち位置が決まっている2Dとは違い、3D空間による様々な攻防のシチュエーションが生まれました。
どうかすると後ろに回り込んで後頭部をボカスカ殴ることも可能だ。現実では減点を食らうのだがボクサーズロードなら合法。
このようなお互いの自由な立ち位置が生む様々な攻防のシチュエーション、これがこの作品の革新的な部分。
かわしながらパンチを撃つ、そんなことも多少可能にはなっているが後に述べるイマイチな点により、ウリとはなっていない。
良い点ばかりを書いてきたが結局この作品も自分にとっての理想のボクシングゲームとはならなかった。
実はこのゲーム、パンチの軌道は体の向きに依存しているのだ。なのでスウェーしながらパンチが打てるのは革新的だが当たらないのだ!したがってかわしながらパンチを放つことにほとんど意味がない。
体の向きに依存しているとどのような不都合があるのか・・・。
実際の試合で例えば相手がサイドに動いたとき、その動きを目でキチンと捉えているなら体の向きを変えることなくストレートをぶち込むような場面をみたこともあるでしょう。
しかしこのゲームだと前方にまっすぐにしかパンチは打てない。前方しか狙わない。なので体の向きを変えてからパンチを打つという動作になってしまうのだ。肩の関節が異常に硬い選手なのだろうか?
これがこのゲームの動きをラジコン的にしている原因なのだ。スムーズな攻防が無く、かわして打てるのは結局ダッキングからのボディブローだけというファミコン時代のファミリーボクシングとあまり変わらないことになってしまっているのだ。
それはボクサーズロードの開発に携わったスタッフが参加したPS2の「はじめの一歩」でも変わらない・・・。
ゲームの序盤、選手が育っていないため、スピードが遅い事は理解できる。それはパンチスピードだったりフットワークだったりだ。
しかし選手の挙動を注意深くみてみよう。・・・フットワークの際、体が軽く浮くのだがなんとその浮くスピードも遅くなっているのだ!むろん着地するまでのスピードもゆっくりだ。まるで無重力空間にいるかのよう。これじゃ月面の宇宙飛行士だぞ!・・・・これはマズイのでわ?
アマゾンレビュー11件☆4.2
「体調管理が面白い」「一部ファンの間では絶賛」「このゲームの面白さは強く育てて初めて面白さが分かるゲームです。」
ボクサー人生を疑似体験できる点でいえば十分楽しめるでしょう。デビューから引退までの試合を振り返るエンディングが感動する。ただ、リアルなボクシングの攻防は期待できません。
これをプレイするなら動きがよりボクサーっぽくなり、モーションが豊富になったPS2「はじめの一歩」のほうがいいでしょう。・・・しかしそれでもパンチの軌道は体の向きに依存しているのは変わりませんが。
★★★☆☆