ファミンアドコベンチャーがやりたくなり、レトロゲームショップで見かけた「殺意の階層」を買ってみた。 パッケージみて思い出したけどコレ、当時は主人公の雰囲気に嫌悪し、避けたソフトだ。
これまでプレイしてきたプレイヤーや助手にはヤスや神宮寺、猿渡シュンスケなどといったカッコいい面々だ。それに比べ、コヤツは明らかに毛色が異なる。
↓この「殺意の階層」の主人公はかなり微妙だ・・・・。モッサリした後ろ髪とキャップのとりあわせだけがサスペンスしているではないか。
とはいえ、重要なのは中身だ。なんでもファミコンで多い、コマンド総当りが通用しないらしい。確かにコマンド総当りというのはアドベンチャーゲームの面白さの本質をつぶしてしまう遊び方だ。
なぜなら上から順番にコマンド入力していくだけでエンディングを迎えられるのだから。むろんその間は脳死プレー。しかしその間の経過などスッポリ抜け落ちてのエンディングなどになんの達成感が?
でも総当りしていかないと「こんなコマンドで進むのか・・・」というようなウソな展開のソフトもままあるため、仕方なく実行してしまうプレイ方法ではある・・・。 総当りでプレイさせたくないのなら選択に納得感のある・・・(以下略)。
しかしこのゲームではそのようなプレイ方法では決められた期間があっという間に過ぎ去り、ゲームオーバーとなってしまうのだ!
「・・・本物かもしれん」さ、始めてみよう。
ショボイわ!画面がぁ。 「バグ!?タイトル画面が出ないんだけど・・・」困惑するなこりゃ。 画面がチープすぎて逆に新鮮か! とか思ってたらプロローグのような簡単な捜査を終えたら本来のタイトル画面が。
崖下の場面、画面左下の波の部分が動いている・・・・けっこう凝っている?
一つのコマンドで3分過ぎる。 「あ、今のウソウソ」とかいっても問答無用で過ぎる。それにいつものような上から順に作業っぽく入力していく従来のアドベンチャーとは一味違う。 選んだコマンドで何も情報が得られなければそれは貴重な時間をドブに捨ててしまったことになるのだ。
与えられた期間は3日間、・・・・捜査する期限としては短いような。 ためしに適当にプレイしてみた。 数々のアドベンチャーを解決してきたこの頭脳をもってすれば・・・一発解決の可能性もある!
あれだけ熱心にお願いしといて「もうけっこうです」とか熱冷めるの早いオヤジだ!冷却性能が高すぎるぞ!バーコード頭はダテじゃないな・・・ これは・・・むずいかも!
話好きそうなおばはんをターゲットに集中して聞き込みをしてみたがまさに当たりで様々な情報をこの一人のおばはんから聞き出せた。 他人の噂好きのクズ様のおかげである程度の人間関係は把握できた。なかなか理にかなった設定だ。
こうして情報を得られなかった無駄なコマンド入力を無くしていき、確実に歩を進める感じのアドベンチャーゲームだ。
コマンド選択式のテキストアドベンチャー。ただ時間制限があり、一回のコマンド入力で3分が経過する。夕方の6時を過ぎるとその日の捜査を打ち切ってしまう。考えてコマンド入力しないとけない。
完璧なように見えるシステム・・・だが!
そこで自分は考えた・・・結局のところ、セーブロードができる。なのであらかしめコマンドを総当りしといて効果のあったもののみを抜き出し、リストアップ。そしてリセット。ロードしてそのリスト通り入力する。無駄は0だ・・・。リセット、ロードする行為が無駄だ!
しかし、たったそれだけでめでたく真エンディングを迎えた・・・。
プレイの仕方としてはどうかと思うけどそうしないと自分みたいなのはクリアはできなかっただろう。
そう・・・このゲームは結局総当たりなのだ。だが・・・!
メッセージ等が表示される画面下半分はグレーを使っているけど素直に黒じゃだめだったのかな・・・。画面全体のコントラストが弱いという印象がある。タイトル画面にもグレーを使っているので統一感をだすためなのかな・・・。緊張感に欠ける部分は画面の印象からくるような気もする。
キャラクターの目が瞬きしたり、海岸の波が動いたりして凝っている部分もあり、全体的に悪くは無いです。当時自分がなぜ買わなかったかというとキャラクターデザインが生理的に受け付けなかったからです。
このゲームは2時間サスペンスみたいなシナリオを楽しむタイプじゃありません。そういった受動的なタイプのゲームではありません。 与えられた情況、モノから観察し、想像力を働かせて推理する。推理を楽しむゲームです。
聞き込みももちろんあるけどどちらかというと名探偵が現場をみて頭を捻る。そういう感じを楽しむものになっている。「どうしてこんなことを?」という疑問からその人物の動機を考える場面があります。
意外と今までアドベンチャーゲームやってて自発的に考えたことなかったがこのゲームはプレイヤーにそういうことをさせてくる。プレイヤーに考えさせるというコンセプトがあるんだと思いますね。その理由としてわかるものの一つが下で説明している効果音の部分。
音楽自体の印象としてはあまり良くは無いかもしれない。キャラクターがいる場所によって音楽を分けている点は評価できるけどそれぞれの曲のデキはあまりよろしくない。 BGMに関しては個人的にはイマイチかな。
効果音についてですが、たいていアドベンチャーゲームには捜査に進展があった場合、効果音が鳴るお決まりの演出があります。
だけどこのゲームにいたっては無い。なのでなんだか寂しいかもしれない。ただ理由としてはおそらく捜査の進展になったかどうかはプレイヤーに委ねられているからだと思います。人によっては敏感に察知することでも別の人にはなんだかよくわからない事かもしれない。
よくわかっていない人に向けて「捜査に進展があったよ!」と効果音と共に教えてあげるのはこのゲームの性質上あってはならないので理解できるシステムです。・・・だとすればこのゲーム、なかなか奥が深いといえば深い。
そういったこのゲームの特性もあり、効果音についてはちょっと不利になっている。しかしむしろそれがこのゲームのすごさになっている。すごさというかふつふつと湧き出る凄みを感じることができる。 グラフィックがもう少し違ってたらその凄みが素直に伝わったのかも・・・。
時間制限があるのは緊張感を保つのに良い効果があった。制限のあるなかでいかに工夫できるのか。自分みたいなヘボ探偵は総当り→ロードをやってたのでただめんどくさかっただけですが・・・。
実はこの殺意の階層はファミコンアドベンチャーの中で最も最適化されたコマンド入力になっていたりする。総当たりコマンド入力において。
直前のコマンド選択のカーソル場所が記憶されるため、入力がものすごくラクなのだ。
一階層目が「調べる」二階層目に「つくえ」「ベッド」「パソコン」になる場合。「つくえ」を調べた後に続けて「ベッド」を調べたいときにまた一から「調べる」→「ベッド」と冗長な選択をする必要がないのです。
現在地である2階層目が記憶されているため、すぐに「ベッド」を選択することができる。もし、このゲームがコマンド総当りゲームだったとしてもかなりスムーズにプレイできただろう。こういうのって地味だけどけっこう考えて作られているように感じられ、好感が持てる。
最後あたりに「あんた、本当にわかってプレイしてるんだろうな?」とばかりに執拗に多数の選択肢が出てきます。疑い深いやっちゃのう・・・。
テキトーにプレイした人にとってはけっこうな組み合わせになり、真のエンディングには辿り着きにくくなっている。でもテキストをちゃんと読んだ人にとってはさほど難しくないようになっている。
例えば死亡推定時間は8時~10時と鑑識から上がってきたとします。すると容疑者の8時~10時のアリバイを聞くわけですがそもそもその時間が違っていた場合の事も頭に少しだけ入れておいて捜査するなど、人間の陥りやすい心理っぽい要素などを加味している。引っかからずに回避できたりすると「やはりな・・・」などとニヤけてしまうかも。
疑り深い人がプレーすると快感かもしれない・・・。
ちょっと淡々としている。ジワジワ来るっていう見方もできるけど。コンセプト的に仕方が無いのかもしれない。
ネットで事前にアレコレ調べるとたまにいきなりエンディングを目にしたり、ネタバレにお目にかかることもある。なのであまり調べずにプレイを始めた。でもそのせいでこのゲームのコンセプトに気づくのが遅く、序盤の評価は低かった。「アレとアレがはっきりしないまま終盤にきたんだけど・・・。」とか。それも当然、出てきた材料を自分で判断するためだったのだ!
途中からこのゲームのコンセプトみたいなものが見えてきてそこから楽しめるようになってきた。ただ、残念ながらすでに終盤ではあった・・・。
さっきも触れましたが事前にセーブ、コマンド総当り→効果的だったコマンドピックアップし、メモ→ロード→そのコマンドのみ入力して時間節約
基本的にはこれを繰り返す。
念の為、3つあるセーブ枠をフル活用するのもいい。自分はけっこう頻繁に戻りました。
殺意の階層
1988年1月7日HAL研究所
しっかりとしたコンセプトのもとに作られていて、ネット上での評価の理由に納得。
驚愕の真のエンディングは自力クリアでのみ味わえる。