弁慶外伝

弁慶外伝は1989年12月22日にサン電子から発売されたPCエンジン用RPG。キャラクターデザインには男の生き様を描くことに関しては右に出る者はいない漫画家、本宮ひろし!!を起用。

この時期はPCエンジンCDロムが発売されてから一年が過ぎた頃。ユーザーは大作RPGを待ち望んでいた。そんな空気の中、「ここにきてHuCardかい!」と、さぞやがっかりでしたでしょう。

システム

ドラクエタイプ

オーソドックスなドラクエタイプのコマンド選択式。アクション性は無し。

スタートしたばかりだというのにわりと高い被ダメに「若干バランスが悪いかな?」という第一印象。

品質に一抹の不安を覚えつつしばらくプレイしてみると比較的レベルは上がりやすく、周辺の敵はすぐに脅威ではなくなった。

ほどなくして回復の魔法も覚え、全滅とは無縁に。

漢字フォント使用

漢字を使っていて読み易・・・いや、漢字だけが一際デカイせいで読みやすいのかどうかはイマ一つよくわからない。だが和のテイストに漢字は必須だ。

スタート!

おコトってだれだかわからん娘を助けに行って欲しいとのこと。せめて一回くらい会話する機会をくれれば助けたい気持ちが多少は湧くんだが・・・ハァ、せっかく選択肢が出たのでお望み通り「いいえ」を選ぶ。

すると「はい」を選ぶまで延々と左のようなお叱りを受け続ける。エンドレス説教状態。仕方なく「はい」を選ぶといかにも自ら「はい」を選んだかのようなメッセージが。選択肢の意味はあるのか?若干釈然としないまま冒険を続ける。

エンカウントが不快

エンカウントの時の画面変移のエフェクトが無いのもあるが、いきなりBGMがブツッと消えるのが不快だ。それにエンカウトが頻発するのも不快だ。

期待が高かった反動なのか若干テンションが下がり始めたそんな時、操作を誤って塔から落ちる。落下中の画面に切り替わった。「お!?なんかあるんかい」などと若干期待を持たせてくれる。んが、ただ地面に帰還するだけだった。

「・・・・」こんなのは別に意味ありげに画面切り替えなどせず、ドラクエなどのように音だけでいいのではないか。そんなことよりもエンカウントが頻発するのでマップ画面からスムーズに戦闘へ切り替えるための配慮が欲しかったな。

塔を攻略したので次の町を目指す。町から町の距離が遠くないのはいいね。

しかしエンカウントがしつこいぞ!マップの狭さをカバーするためでなければいいのだが・・・。それと数歩 歩くだけでレベルの違う敵グループの生息地帯に足を踏み込んでしまうようだ。一画面の中に異なるレベル帯の敵が2グループ、ときには3グループなんてこともある。

ドラクエⅠですら橋を越えてから違うレベル帯の敵が出現するのだが・・・。

なんだか普通のRPGのワールドマップをギュッと濃縮した・・・そんな感じだ。

マップの広さもアレフガルドとどっちが広いかな?ってレベルかも。

仲間ゲット

三郎という仲間が加わった。ここでも本宮氏の作画パワーがぞんぶんに生かされている。なかなか強力で戦闘がずいぶん楽になった。

PTプレイになって早速良い点と悪い点に気づいた。それは装備品が買う前に誰に装備可能なのかどれほど能力アップするのかわからないのだ。これはめんどくさい。序盤の武器、防具は誰が装備できるのか説明書に載ってはいるんだが。 

道具屋を覗いてみる・・・この時代にヨーヨーもどうかとも思ったが、これはまだなんとなく装備品だとは思えるからまぁいいとしよう。しかし火薬玉はどう考えても消耗品であり、装備品だとは思えないんだが・・・装備品だ。使っても減らないのかコレは?なんつー。それはそうと道具屋の取り扱い商品が普通の道具だったり装備品だったり不安定だな。なんというきまぐれ。

戦闘終了、「さて、疲弊したPTメンバーの回復をするか。すぐにエンカウントするから油断はできないからな」次への戦闘の準備も怠るわけにはいかない。 「あれ?」回復魔法が連続でかけられない!これは一体・・・・・?イチイチ最初からコマンドを選択し直し、誰が、何を、誰に、などというお手続きをして回復させる・・・配慮が足りんな。プレイヤーの工数を減らすのが爽快感のキモなのだが・・・・・ほのかなクソの臭いがしてきた。 いや、いかんな!まだだ!

いい点もある!それはすでに倒された敵を攻撃目標にしていた味方が自動で別の敵に攻撃を切り替えてくれることだ。なんとドラクエⅢ、Ⅳでさえ空振り扱いとして処理され、貴重な一ターンの攻撃が無駄となるのだ。・・・・洗練されているのかされていないのか・・・どっちだ!弁慶外伝!どこまで俺を惑わせれば気が済むのだ!

シナリオ

基本お使いのレベルで退屈だ。これくらいの規模だと逆にそれがシックリとくるのだろうか。逆にこのクオリティでシナリオだけが起伏ありまくり、キャラ立ちまくりだと逆に異様かもしれない。

関東から東北、そして蝦夷・・・北海道へ。北海道の用事を済ますと鎌倉の関所が通れるようになって尾張から京都へ。さらに四国、九州へと続いていく。こうして書くとすごいマップが広そうだがこれでもまだアレフガルドよりも狭そうだ。どんだけギッチギチやねん!いや・・・キツキツはむしろうれしい。

船ゲット

マップは日本ということで狭いと思いきや頻発するエンカウントのおかげで無限の広がりすら感じていたわけだがここで船をゲットしてしまう。「げぇ・・・」いや!スケールが大きくて歓迎だ。敵との繰り返し繰り返しの戦闘がまた始まる。おっと目眩が。

気づけばそこは四国。なぜか四方を囲まれ、船でこれなかった場所だ。ここの塔は迷路のようになっており、ここでババァとの追いかけっこをするハメになるのだ。このエンカウント地獄の中を!!なにゆえシワシワババアのケツを追いかけねばならんのだ?作り手は多分嫌がらせしているんだろうな・・・。ここまで読んだ人はもうやりたくないと思っただろう。ウム、やらんがええ。

総評

1989年暮れと少々古く、「ショボイのも仕方ないか・・」などと考えてしまうかもしれない。だがしかしこの作品の約2年前、1988年の2月の時点ですでにファミコンで洗練されたRPG、ドラゴンクエストⅢがリリースされている。こっちはPCエンジンのクセにアラが目立つし、スケールもかなり小さいものに。せっかくの本宮ひろしのキャラクターデザインが生かされていない!

エンカウトの調整くらいは最低しておかないと・・・。フィールド上とダンジョンではエンカウト率は変えないといかんと思うわ。これじゃダンジョン探索が苦行以外の何者でもない。

全体的なクオリティはファミコンRPGとさほどかわらない。最後の敵はやっぱアイツか・・・と、なんだかメラメラするものが沸いてきてストーリーは悪くは無いんだが。

しかしそれほど期待せず、ハードルを下げて望めば和のテイストの懐かしいチープな、古くさいRPGとしてそれなりに楽しめるだろう。

10点満点中5点くらいかな。惜しいゲームだ。



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