ダークキングダムは1994年4月29日 日本テレネットより発売された。日本テレネットといえばPCエンジン界で「コズミックファンタジー」とか「デスブリンガー」を世に送り出したあのメーカー・・・あまり良い印象が無いかもしれないが心を入れ替えた可能性もある。
当時の雑誌もほぼ取り扱わず、ほぼスルーという。
ファミ通レビューも7,6,6,7と良くもなく、悪くも無く、「小クエストの集合体ってのも魅力の一つ」という、魅力と言いながらスケールの小ささを強調するような釈然としないレビュー。
誰だったかな・・・女の人だったような気がする。
おかげさまでまったく売れず。
しかしその後、インターネットの普及、そしてアマゾンレビューの投稿などで認知を広める。
当時、大絶賛の☆満点のレビューを目にした私、かむいは最安値を探し求め、ついに裸ロムを入手した!
説明書付きが欲しかったのだが定価並みの価格だったので断念。1400円で入手。
大絶賛されすぎていたのもあり、初プレーでは「ぬぉおおおおお!!!」と憤怒。クソなシステムに耐え、なんとかクリアしたが・・・。
ドラクエの主人公など、もはや嘘くさ・・・まぶしすぎてプレイできなくなった。すっかりうす汚れた自分には居心地の良い世界だった。
だが、システムだけはクソだ。
このゲームは普通のRPGのように自由に世界を旅できるようにはなっていない。魔王軍の本拠地から与えられた任務のときだけその地に入れる許可がおり、移動できる。
つい許可をとらずに出てしまい、戻って窓口にいくも誰もいなくなるというスーパーバグに遭う・・・・。
基本、本拠地と目的地を往復するだけだが途中に点在する町には自由に入ることができ、シナリオ進行度によっていろいろと変化がみられる仕組みだ。
基本的にフィールド上に敵は出現しない。「エンカウントが頻発でウザ!」などという心配はこのゲームには存在しない。ダンジョン等ではエンカウントするが比較的逃げやすくなっている。・・・いや、そういえば捕まった事はないな・・・。 激ヨワで強敵ダンジョンに潜り、まんまと強装備をゲットすることも可能じゃないか・・・なんですかコレは。
説明書が無いので手探りなのだが・・・戦闘はコマンド選択式だ。「せんとう」を選び・・・そうだな、SWMとやらを選ぼうか。
これで終わりかと思いきや、ゲージ?メーター?のようなものが現れ、ゲージ内の剣の形をしたカーソルが振り子のように左右に振れ出す。どこで合わせるのかわからないが・・・多分真ん中だ。真ん中を狙ってAボタン。・・・・・ズレたぞ。
この目押しを真ん中にジャスミートさせるのがかなり難しい。外すとけっこうな与ダメ低下となる・・・。
なんでこんなシステムを取り入れたのだろうか?テンポが悪くなるだけだし第一ストレスだ。このシステムがだんだんと、後々にキツくなってくる。ゲージの動きにクセがあり、ストレスがハンパない・・・。
APというのは魔法のような効果を物理攻撃に加えるとの事だがこれを選択するとこの振り子のゲージでタイミングを合わせる必要がない。
楽した挙句に追加ダメージなのか?しかしこれを選択するとすごい与ダメが低い・・・・。店屋の親父の説明はなんだったんだ?ウソなのか?
ゲーム中の説明では「おなじものを選択すれば強くなるぞ!」とある。
戦闘中の選択コマンドなのかと思いきや仕事を達成した後に貰える褒美の選択なのだ。まったくもって説明不足。さすが日本テレネットじゃないか。
そのAPレベルは11が最大レベル。戦闘中にカーソルをアビリティに合わせるのだが合わせた直後、またカーソルが現れる。そのカーソルを違う種のアビリティに選択すれば合体効果が得られる。AP攻撃だと振り子ゲージが免除されるのにチマチマとした選択をせねばならず、これもテンポが悪いぞ!
仲間になるキャラクターは元々ある程度のレベルのAPを持った状態なのでさほど取得バリエーションが豊富ではないがいくらか試せる余地はある。
試せはするが取得APを絞らず、アレコレ薄く広く取得してしまうとまったくダメージを与えられないゴミキャラが完成し、詰む。 最初のプレーでは経験値によるレベルばかりを上げ、APのレベルは考慮せず。様々なAPを手広く取得したことによるゴミキャラを作ってしまった。「レベル上げてんのに全然ダメージが与えられん!!やめたわ!」などと憤怒。
主人公ジェンは「サクセシブ」をひたすら上げよう。
現在のMPが装備できる魔法の強さを決める。例えば今自分のMPが30なら必要MP30を一つ装備するか必要MP10を3つ持っていくか選択することができる。
豪快な一発をお見舞いするかチマチマ何回も繰り出すか選べと。
MPという概念が従来のRPGのシステムとは違う。なんかいろいろとシステムが変わっていてプレイしずらいな。
最初の依頼を受け、冒険に赴くもある地点で待ち受ける敵に倒され、「闘技場で修行して出直せ」というアドバイスを受ける。
フィールドを移動してもザコ敵に遭遇することはないので闘技場でしっかりレベルを上げる必要があるようだ。
んでこの闘技場、一回の戦闘回数とやらを決めさせる。
何回戦うかとか知らんがな。途中で飽きてやめたい場合とかすぐにやめられんのかいな。これはめんどくさい。
1~99回まであるが・・・ 1回だろうが99回だろうが最初に設定した段階で一日が消費するということが特徴。
なぜ戦う回数を決めなくてはならないのかが意味不明だ・・・・。自動で戦闘が始まるための処理の兼ね合いでこういう仕様になっているのだろうか・・・。
99回の戦闘とか気が遠くなりそうなのだがなぜか一日しか消費しない。1回の戦闘なぞ5分くらいで済みそうだが一日だ・・・・。まぁいい。いや、よくないな。やはり日本テレネットだ。
「99回にしたけどやっぱ無理だわ」と「てったい」を選べば途中で止めることはできるのだがなぜかそれまで戦った分のお金が貰えないのだ・・・なぜだ!!罰か?ふざけんな!よこせ!
99回を選択し、60回くらいでギブしちゃったときのストレスが想像を絶することになりそうだ・・・。したけど。
パーティーメンバーは最初は主人公のジェンだけだがストーリーが進むと次第に増える。加えて傭兵を雇うこともできる。とはいえ、傭兵が必要になるのは最初だけで後は必要無い。せいぜい魔王城に帰るための「シフト」か回復魔法をさせる要員程度。
ちなみにパーティは複数編成でき、戦闘中にパーティ毎入れ替えることができる。キャラ毎ではない・・・
経験値は敵を全滅させた時点に選択されているPTメンバーのみに入る。全員でもいいじゃないかなぜダメなんだ?観るのも経験だぞ!
傭兵はストーリーが進めば順次レベルの高い傭兵を雇うことができる。登場時点のレベルの高い傭兵のほうが習得しているAPの種類、レベルが高いのでさっさと入れ替えるもよし、放置するもよし。つまり育てるのは固有キャラだけでよい。
魔王軍という話で来て見たのだがなんか印象が違う・・・。オラオラしたかったのになんだかキツキツに管理された管理社会、タテ社会じゃないか!
魔王軍本拠地内の窓口にて申請、すでにメンバーにはどういった任務が与えられているのか管理されており、話かけるだけで通過すべき都市の通行許可が降りる。そうでない都市は立ち入ることができないのだ。
一見めんどくさそうだがリアルな設定として評価したい点だ。魔王軍はもともとオラオラ系なのだからおかしな行動を取る輩ばかり、だから監視が必要なのだ!
ワールドマップに出たとたん時限爆弾のタイマーのように時間が進むのがかなり気が散る・・・・・。任務を期限内で終わらせることで出世するということで時間が進むような設定になっている。
20日~30日の期限があるがだいたい10日以内に終わるものばかりだ。普通に行けば5日以内か。かなり余裕があるのだが、この時限爆弾のようなタイマーのせいでとにかく気が散る。
・一日進む。
闘技場で戦闘が終わったとき、宿屋に泊まったとき。
・随時進む。
フィールドマップ上を移動するとき。
なのでフィールドを無駄に散策しなければ基本は大丈夫だろう。だが、本当に気が散る。
シナリオに関しては言及しないほうがいいな。アマゾンレビューの通り、台詞がイカしている。ただ魔王軍ということだったのでもっと人間をバッサバッサとやってしまうかと思ったがそうでもないな。
しかしなんだか主人公はクールなだけでいい奴っぽいな・・・。
本格的に魔物になりきり「ゲヘゲヘ♪」しようと思った自分は若干肩透かしをくらった。
←お店の主人の台詞が恐怖におののきまくっているのは面白いが。
ともあれ、目的を秘めた主人公がのし上がって行く過程にグイグイ引き込まれていくはずだ。
上官から「~に行って、~してこい」という命令が下るのだがそこで電源を切って久しぶりにプレイしようとするとその内容がもう確認できず、どこへ行けばよいかわからなくなるミシシッピーシステムを採用。「もう言いました。」とでも?
そして期間をオーバーしてしまう。そうそう、任務の期限日数も確認できない・・・。
依頼内容を確認できる情報画面をステータス画面に欲しかったところだ。このように完成度という点においてほころびが見えるのだ。
特に綺麗でもないが悪くもない。キャラクターも全体的にダークな感じというか昔風で良い。
永井豪のエッセンスをちょっぴり振りかけた感じだ。
最近のアニメチックにウンザリなレトロメンにはグッとくる雰囲気だ。
入隊して一番下っ端から始まり、功を重ねて出世する・・・男なら誰しもが快感に浸れるシチュエーションを楽しめる。
魔王軍に入れるというものに思ったほど斬新さは無く、むしろその出世街道、嫉妬や謀略など人間(?)模様に魅力があるゲーム。大人になったレトロメンにはドラクエやFF、ゼルダよりもむしろ楽しめるかもしれない。
せっかくの魅力あるストーリー展開・・・残念ながら戦闘の目押しが非常にめんどうくさい。戦闘にアクション性を持たせたいのであれば素直にアクションにできなかったのか?
振り子をジッとみて目押しするとか戦いと無関係のアクションをやらされるより剣を振って敵に当てるタイミングや実際に斬ったりする爽快さを見せたほうが遊べると思うのだが・・・。
無意味な事をやらされているように感じて本当にツライ・・。意味がなさすぎてツライ。
戦闘にアクションを取りいれたいのなら素直にアクションRPGにして欲しかったし、そうでなければテンポのよいコマンドRPGにしたほうが良かったのでは?
おまけにレベル上げは主に闘技場で作業っぽい。いや、完全なる作業。
モンスターを求めてフィールドをウロウロする無駄な操作が必要としない分いいのかもしれないが・・・。
ただ「AP」レベルを上げることによってSWMの目押し戦闘から開放させることができる。
しかしそれでもコマンド選択が冗長でテンポが悪いときた。この辺ホントダメだわ。
APを上げる機会がシナリオ終了後だけなのも残念。
結局のところシナリオの数だけしかAPを上げる機会がなく、いろいろと効果を組み合わせる余地がありそうなのに生かせていない・・・。
このゲームは魔王軍に入隊するところから始まる。
ガンダムでいえば連邦軍に対するジオン軍といったところ。
ゲーム中、勇者様御一行が登場する。たいていのRPGに登場する勇者様御一行の役割は「この世界のどこかにいるモンスターを操る魔王的な輩を退治して欲しい・・・」なんていう役割。
探検、調査、魔王までに至る秘密の謎を解く調査隊的なイメージ。
魔王軍のトップは別にどこかに隠れているわけでもなく、別次元から闇のパワーで世界を震撼させているわけでもありません。
魔王軍は組織立っており、国家を形成しています。なのでこれはあくまで国同士の戦い、戦争です。
必要なのは数のパワー、軍隊。勇者様御一行の必要性がわかりませんでした。
「○○たちはお金を半分失うだけで生き返るらしいぞ!」とかいう魔物が噂する下りもイマ一つすべった感じ。
当時のアマゾンレビュー満点時に購入したせいで落胆から少し厳しめにレビューしてしまいました。
プレーの途中からAP攻撃オンリーで目押しの負担はなくなりましたが・・・そもそもテンポの悪いコマンドRPG自体があまり遊ばれることが少なくなった今、プレイするのはちと厳しいかも。
オマケに戦闘システムや情報画面等のUIなど完成度は高くはありません。
とはいえ、台詞やストーリーに尖った点のある魅力あるゲームであることはまちがいない。
なのでそこに価値を見出せるなら楽しめるでしょう。絵や雰囲気、音楽もいいね。自身は好きなのですが他人にオススメはできません。
・・・本当に惜しい。
現在はアマゾンレビューが☆2.4と、自分が買う前の☆5満点という不自然に高かった☆と値段も2万円からだいぶ下がり、手に入る値段になってますが・・・。と、思ったらまた値段が上がっています・・・。
ただ、レトロフリークだと多少プレイはしやすくなりますね。「~の攻撃」って表示されたときに1/4スピードにすると真ん中を取るのが簡単になりますし、「Aボタン連射」をどこかのボタンに設定しておけば冗長なコマンド選択もおしっぱなしで負担軽減。
いくらなんでも☆2.4は厳しすぎるかもしれません。他のソフトと相対的に比べると☆3.5~3.7くらいはあるのではないでしょうか。